新進気鋭の映画製作会社「A24」がイチ押しする映画「ウェイブス」「ミッドサマー」の感想を書きました。やっぱり映画は素晴らしい。
お休みの今日は2本の映画を紹介するね。いずれも「 A24 」の作品。
尚、知らない人の為に説明しよう。
あまり映画製作会社を気にして観る人はいないと思いますが「A24」は大手スタジオとは一線を画す独特な作品を作り続けることで、今最も注目されている新進気鋭の製作スタジオです。2012年に設立したばかりの会社ですが、素晴らしい作品をバンバン生み出しています。有名どころでいうと、2017年のアカデミー賞作品賞に選ばれた「ムーンライト」ララランドと呼び間違えられたあの作品です。また2016年に主演女優賞に輝いたブリーラーソン演じる「ルーム」また、アリアスター監督の作品「へレディタリー」他はレディバードやエイスグレードでも有名。と、挙げたらキリがないのでこの辺でやめておきます。
是非上映前に「A24」の文字が出たら、あ!短パン社長の言ってたやつだ!と思い出してくれたら嬉しいです。最近は大きい映画館でも上映される事が増えてきたしね。
でね。1本目はこちら全くノーマークの映画。4月10日に公開の「 ウェイブス 」今回もヒロナガのお友達、某映画製作会社で働く三浦くんのおかげで試写会に行くことができました。いつもありがとう。
そんなヒロナガが珍しく「 これ行きませんか? 」って自分から誘ってきた。一応影響力があって、毎日発信してるオレが一緒じゃないとヒロナガは行けない条件になっているので笑笑
なんでも今年彼が一番観たい映画だったらしい。
フロリダで暮らす高校生タイラーは、成績優秀でレスリング部のスター選手、さらに美しい恋人もいる。厳格な父との間に距離を感じながらも、何不自由のない毎日を送っていた。しかし肩の負傷により大切な試合への出場を禁じられ、人生の歯車が狂い始めた彼は自分を見失い、やがて決定的な悲劇が起こる。
兄のタイラーが第1幕、妹のエミリーの舞台が第2幕といった、2人の兄弟を2つの構成に分けて作られていて、それに加えて、父と母、またエミリーの彼氏のルーク( いつもは悩める少年役で出演するルーカスヘッジスが今回はどちらかと言うと救済役を演じてて最高でした! )それぞれの視点で描かれる場面もあり、みんな悲しいよね、寂しいよね、辛いよね、と、いつの間にか感情移入している自分がいて、途中胸が張り裂けそうになり、息苦しさを感じることも。
誰もが体験する青春の挫折、恋人との別れ。そして出会い。また、親子の確執や家族の絆と。再生と贖罪。とてもキリスト教的な作品でもある。愛なくして希望も信仰も生まれない。憎しみからは何も生まれない。最も大切なのは愛。と、お父さんが娘のエミリーに話し、抱きしめるシーンに思わず号泣。
また、斬新なカメラワークにスタイリッシュな映像に魅せられるだけじゃなく、フランクオーシャンやケンドリックラマー、カニエウェスト、レディオヘッドなど、今をときめく超豪華アーティストによる31曲の音楽も最高。目をつぶって音楽だけ聴いてても成立しちゃう映画かもしれない。
ある意味予想を大きく裏切り、ビックリするくらい素晴らしい映画でした。美しくて、切なくて、寂しくて、それでいて愛が深い。マジでオススメ。
予告動画はこちらから。
で、もう1つ紹介しますね。
ただ、こちらはあまりオススメできない映画「 ミッドサマー 」
愛が深い映画だったのに対し、こっちの映画はなんとも愛が不快。たまにはこんな紹介もアリかなと笑
そう。アリ・アスター監督がまたやりやがった。怖いのに、めちゃめちゃ怖いのに、少しだけ笑えちゃう。こんな嫌な気持ちになる映画がアメリカで大ヒットって。
いや、彼の前の映画「へレディタリー」もそうだったね。アメリカどころか日本でも流行ってたもん。みんな嫌なものにお金を払うってどうかしてる。どうしたらこんな映画が作れるんだろう。「この映画を見て不安を感じてほしい 」って、性格わるー。ワイコーー。
この映画は精神的に不安定な人は絶対観ない方がいいし、ボクの友人にも誰1人オススメしません。笑 ヒロナガとかマニアックな映画が好きな人だけですね。
主人公ダニーは家族を不慮の事故で失い、大学で民俗学を研究する恋人や友人と5人でスウェーデンの奥地で開かれる90年に一度の祝祭へ参加する。美しい花々が咲き乱れ、太陽が沈まないその村は、優しい住人が陽気に歌い踊る楽園のように思えた。しかし次第に不穏な空気が漂い始め、ダニーの心はかき乱されていく。妄想、トラウマ、不安、恐怖……それは想像を絶する悪夢の始まりだった。
と、このストーリーと予告動画を見ただけで怖いですよね。ボクもかなり勇気を出して映画館に足を運んだもん。
予告動画はこちらから。
こんなに明るいホラー映画(いや、文化人類学映画かな)を未だかつて見たことない。こりゃトラウマになる人がいるって言うのも分かるわ。
しかも公式サイトに「 観た人限定完全解析ページ 」っていうのがあって、マジで伏線やら謎解きが書いてあってもう2度と見るまいと思ったのにまた観たくなってしまった自分がいる。ホントスゴい作り。凝りに凝ってるし、監督の想いがいっぱい詰まってる。
中毒になって再び映画館に足を運ぶか、二度と触れたくないと思うか。そんな作品。オレはどっちだろ笑笑
尚、ウェイブスの監督、トレイ・エドワード・シュルツは31歳。アリ・アスターも34歳。また「A24」を立ち上げた3人も当時は30代でした。
ハリウッドの大手映画会社は大作主義の傾向が年々高まり、製作費は高騰しアベンジャーズシリーズのように当たり前になってきてます。その結果、過去の実績がないオリジナル脚本による作品は、大手映画会社で敬遠され、ベストセラーやアメコミを原作とする作品、シリーズ物やその続編、過去のヒット作品のリメイクやリブートなど、興行収益の高い、実績などを持つ作品ばかりがラインナップになってる。これから先、本当に素晴らしいオリジナル映画は生まれるのか?と危惧した彼らが「 A24 」を立ち上げ、比較的低予算、そして監督たちもあまりお金がない。そんな状況の中、気を吐き、近年のインディペンデント映画界を牽引する存在になりました。また、大手映画会社と異なり、SNSを使って宣伝を行うのも現代的。真の映画通は「A24」の配給する映画を観るべきとまで言われています。
ただマニアックな映画が多いので、いつもボクの紹介で映画を観に行く人にはあまりオススメしません。する時はちゃんと書きますので笑
この事については先日ヒロナガ氏もアツく語っていましたが、、、声が小さくて何言ってるのかほとんどよく分かりませんでした。
と、またしても映画についてアツく語ってしまいましたが、この大手企業と中小企業の話は何も映画界の話だけではないですよね。いつも話してる事だけど、そこまで資本力のない我々はどう生き残っていくのか。争ったって、マネしたって勝てっこないわけです。そもそも戦いでもない。であれば、どうしたらいいか。そんな事は自ずと分かるはずです。スモールビジネスこそマニアックな企業を目指す。そこですよね。
A24が配給した映画2本を観て思ったのはそんな事でした。
いやー。それにしても映画って本当に素晴らしい。行こう。また映画館へ足を運ぼう。