誰もが批評家になれる時代。映画「 バードマン 」を見て何を思ふ。
「 ブログもFacebookもTwitterもやらないパパは、この世に存在しないのと同じ 」
はい。
これはアカデミー賞作品賞を受賞した映画「 バードマン あるいは( 無知がもたらす予期せぬ奇跡 ) 」の中で、主人公のリーガンに、娘のサムが言い放ったセリフ。
その他にも、あるシーンで、同じく主人公のリーガンが醜態をさらし、そのYouTube動画が1時間で約35万回再生されたり、リーガンのアカウントをサムが作り、フォロワーがすぐに8万人になったりと、この映画でもSNSの存在について大きく取り上げられてました。
映画シェフでもそうだったようにね。( なぜか久しぶりにグノシーに載ってた映画の感想のブログ↓ )
< 笑いアリ、涙アリ、ビジネスとしての気づきも大いにある。シェフはケイスケ的に五つ星を挙げたい映画です。>
それもそのはず、ストーリーはこんな感じ。
かつてスーパーヒーロー映画「バードマン」で世界的な人気を博しながらも、現在は失意の底にいる俳優リーガン・トムソンは、復活をかけたブロードウェイの舞台に挑むことに。レイモンド・カーバーの「愛について語るときに我々の語ること」を自ら脚色し、演出も主演も兼ねて一世一代の大舞台にのぞもうとした矢先、出演俳優が大怪我をして降板。代役に実力派俳優マイク・シャイナーを迎えるが、マイクの才能に脅かされたリーガンは、次第に精神的に追い詰められていく。
ね。
このあらすじを見て気づいた人も多いと思いますが、主人公のリーガンを演じてるマイケルキートンは、かつて「 バットマン 」で主役を演じた元スーパーヒーローの俳優。ここ最近はヒット作どころか、主演作すらなかったマイケルキートンが、かつてそのバットマンというヒーロー役で一世風靡しながら、今は過去の栄光を取り戻そうと必死な落ちぶれ役者を演じたのが、この映画の肝でもあるとボクは感じました。
ずばり、これってバットマンのオマージュ。なんですよね。
今日まで全くもって興味のなかった俳優でしたが、この映画の主演オファーを受けた事もスゴいと思うし、当然、彼がいなかったらこの映画は完成しなかった。
途中、実在する俳優、ジョージクルーニーや、ロバートダウニーJr.の名前が出てきて、最近のヒーローもの映画と比較したり、また後から気づいたんだけど、マイク役のエドワードノートンは、ハルクに出てたし、娘役のエマストーンも確か、スパイダーマンに出てたりと( そっち系の映画は全く観ないけどね。) 今をときめく俳優が脇役に回り、逆に脇役ばかりやっていた?マイケルキートンが主役を務めるって、配役がヤバい!!監督ハンパない!!って思わず心の中で叫びました。(笑)
以下、【 ネタバレあり 】なので、見たくない人は見ないでね。
( でも見ても十分楽しめますよ♡ )
映画は。というと、もう完全に玄人好みの映画。
あんまり映画を観てない人には、ハッキリ言って「 オススメしません 」(笑)
だってきっと意味が分からない。で終わりそうだもん。( 現に批判意見ばかり目立ってるしね。)
でも映画をこよなく愛すのであれば、絶対に観に行ってほしい。というのがボクの純粋なキモチ。
( あ。でもボクのこのブログを読めば、もしかしたらちょっとだけ見方が変わって、映画をあまり観ない人でもオモシロく感じてくれるかも。?! )
映像( カメラワーク )、音楽( ドラムミュージック )ともに、凝りに凝ってて、特にBGMに関して言うと、主人公リーガンの心境とともに、落ち着いてる時はクラシックが流れ、荒れてる時は、ハードなドラムが流れ、と、とにかくシャレてる。
新旧の融合。
冒頭に書いたように、全くSNSの事を理解してないし、理解しようともしないリーガン。そんなリーガンの付き人でもある娘のサムは、映画の途中途中で、その存在の大きさをリーガンに説明します。ネットを通して、父親の評価を見ていたサム。一方で、ネットなんて絶対見ない。リアルを常に追い求める、頑固一徹のリーガン。
年齢は明かされてませんでしたが、リーガンはきっと60歳前後。サムはきっと25、6歳。( ボクの勝手な予想です。)
これって、なんか、今の社会にも似てると思いませんか?
また、最初は不仲だった2人が、あるキッカケで距離が近づき始めていくのですが、もしかしたらこの先?、彼女が、リーガンの代わりにSNSで発信していき、彼の広報を担うんじゃないかな?とまで思えたりしました。
すべてを手に入れ、
すべてを手放した。
もういちど輝くために、
もういちど愛されるために、
いったい何をすればいいのか?
ハダカになる。
あ。
ごめんなさい。
ちょっとその前にこの映画「 バードマン 」の予告を見てもらってもいいですか?
はい。
見てくれました?
では。続けますね。
( 動画見ない人続き見ちゃダメ!!!!)
予告の最後の映像で、NYのブロードウェイをリーガンがパンツ一丁で歩くシーンがあるのですが、なぜパンイチで歩いてるかは映画を観てからのお楽しみという事で、とにかく、彼はこれがキッカケで色々と変わり始めます。( あくまでも私見 )
それまでは過去の栄光にとらわれ、今置かれてる立場を認めようとしない。家族や大衆の前でも常に強がってみせる。更には人気の実力者俳優といわれるマイクの存在に常に自分の身を脅かされる。など、とにかく弱い自分がジャマをし、過去スーパーヒーローバードマンを演じていた時の自分をダブらせ、苦悩と葛藤が続く。
そう。だからあのパンイチで街を歩き、周囲から罵倒されてるシーンは、そんな着飾ってた自分を脱ぎ去ったかのように感じました。だって、その後の演技がめちゃめちゃ変わるんだもん。
ハダカになる。って、ボクはよくブログや、講演中にも言ったりしますけど、これ、スゴく大切なことで。
自分をどんなに大きく見せても、カッコつけて着飾っても、それってウソの自分。周囲はみんな気づいてる。SNSがあるとそれが余計にね。そんな事よりもいつもの自分。だって人間だもん。喜怒哀楽があるのが当たり前。開けっぴろげでいる事の方が、どんだけ楽か?ってボクは思います。
だって、それがその人だし。その人を好きになってくれる人がきっといるワケだからね。
このバードマンという映画もまさにそれ。でした。
共感できれば、傑作。共感できなければ、駄作。映画なんていつもそんなもん。アカデミー賞を取ってる映画だから尚更。賛否両論当たり前。現に感想がバッサリ!真っ二つに分かれてますからね(笑)
これある意味、人間と同じ。
全員がサイコーの映画だった!って言うよりも、面白い。つまらない。の両方の声が聞こえる映画の方が見応えあるもんね。
誰もが批評家になれる時代。
「 芸術家になれない者が批評家になる。」
これ、劇場の近くのBARで、ニューヨークタイムズの批評家のタビサにリーガンが言ったセリフ。彼女の批評1つでその演劇は1回で打ち切りになってしまう事もしばしば。そんな彼女との言い争いにもとっても気づきがありました。
今はインターネットが普及して、誰もが自分の価値観をSNSを使って発信できる時代。匿名はもちろん、実名でも、有名人や、一般人に対して、自分の意見をぶつけたり、時には誹謗中傷したりと。それが炎上したり、ニュースになったり。今ってそんな時代ですよね。
こうしてボクのブログもある意味批評家づいてるし。アナタのブログだってそう。
そんな今の時代を表した映画でもあり、監督のイニャリトゥ( 覚えられない )も、もしかしたらこの映画にそんなメッセージも込めていたのではないかなぁと。
さてさて、ここまで見てくれて、気づいた方いますかね?( そもそも見てくれてるのかな。この長いブログ(笑) )
父親の復帰ストーリー。壊れた親子関係。SNSの時代、そして批評家との争い。
ええ。これ、ボクがさっき紹介した映画「 シェフ 」と極めて近いモチーフ。
とは言っても、シェフはめちゃめちゃハッピーな映画。この映画は・・・。ですが、比較してみるのもこれまた面白いかもしれませんよね。
書くつもりなかったんだけど、書かずにはいられなかった。いや、書きたくて仕方がなかった。どっちだよ!(笑)
それくらいボクにとって衝撃の映画でした。
あ。ボクのブログを見て、観に行こう!って決めてくれたアナタ。全ては自己責任ですよ!(笑)
オモシロかった。ツマラなかった。これ、映画だから当然。
無論、ボクは大好きな映画でした。( もう1回観ようかな。)
いや〜。映画って本当に素晴らしい。
さよなら。さよなら。さよなら。